テクニックを『考える』流れ-『カッティ』を例に (その3)

 ここまで『後ろタイヤへの入力』をどうするかを考えてもなかなか成功しません。
 ですから『後ろタイヤ(車輪)』だけでなく自転車全体の構造から考えることにしました。

■ 「自転車全体を傾けた時に起きること」も考えた

 自転車から降りていろいろ動かして観察し、「自転車は横に倒すと前タイヤが倒れた方へ向く」構造を利用できるのでは?となんとなくアタリをつけました。

 自転車はちょっと倒すと『倒した側に前タイヤが向く』ようにできています。
 その状態からさらに倒すと、今度はその角度が戻る(フレームに対して前タイヤがまっすぐになる)のを利用してみようと思ったわけです。

 倒す角度によって前タイヤの向きが変わるということは、最初に前タイヤが向いた方向に固定して、さらに深く倒したらフレーム(後ろタイヤ)が動く(ズレる)のでは?と考えたわけです。

 しかもこれなら、後ろタイヤへの荷重量は変わらないままフレームの傾きが増える=後ろタイヤの傾きが増えるので、『その2』でこだわっていた『(倒れることで)車軸が下向きに押され接地点が横に出る』も実現するのでは?とも考えました。

 荷重のかかっている車軸はもともとの軌道上を動いていても、その傾きが増えればその分タイヤの接地点は外に出ていくようなことも推測します。

 また、この場合、前後のタイヤの方向がだいたい揃った時点で、自動的に後ろタイヤがズレるのが止まるはずです。
 上の写真のように、前後のタイヤの内輪差が少なくなれば、それはコーナーリング半径が大きく=より直線的走るようになり、それ以上滑るだけの力は発生しないと考えられるからです。



 これは『コーナーリングの基礎』としては望ましいことだろうと考えました。
 前タイヤの方向=進みたい方向でズレが止まり進みたい方向に進んでくれるわけですから。

 さて、実際にやってみます。

 大きく曲がる『ゆるいコーナーリング(少し自転車が傾き、ハンドルも自然と切れるくらいの状態)』から、素早く自転車を倒し込んでみると、後ろタイヤが少しだけですが『滑る(ズレる)』ことを確認しました。

 どうやらこの考えは大きくは間違っていないようだ、と考えます

ちょっと脱線
 BBの上に突っ立っているような乗り方だと、この方法でも滑りにくいようです。
 僕の考える基本の乗り方としては、ハンドルにも上から手を置いて頭を支える程度に荷重をかけ、『前輪・後輪』にそれぞれ荷重を分けて載せて走るイメージです。

 ただ、できたりできなかったりとムラがあります。
 また、その滑る(ズレる)量も少なく、あまり「ずらしてやったぜ!!」感がありません。どうせなら大きく派手に滑らせたいと思うのが人情です。

 ですが、まずは考えた通りの動作・操作によってテクニックが実現したことである程度の満足感は得られました。

 この後は、この考えの路線に沿っての身体動作と、実行するための操作感覚を工夫していく方針に絞ります。

 

● 『ハンドルへの入力方法』について考えた

 さて、なんとかできるようにはなったものの、今度はより確実に成功できるようにはどうすれば良いのかを考えることになります。

 ここまでで、ペダルを通じて後ろタイヤへ力を加えることは後ろタイヤのグリップを増すという逆効果になるらしいと考えていますので、自転車に直接入力できる(体と接触しているところ)ところは『ハンドル』しかありません。

 そう思いながら自分がアクションを起こす時を思い出してみると、やはりハンドルの使い方(ハンドルへの入力)についてはあんまり考えてないことに気がつきます。

 

 当たり前ですが、ハンドルはその両端についている『ハンドルグリップ(以下グリップ)』を両手で持って使います。

 で、この頃の僕は、自転車を倒しこもう!と頑張った時に『内側グリップを下げる』と同時に『外側のグリップを持ち上げる』動作をすることがありました。(あまり考えてなかったので、そうじゃない時も当然ありました)

 これはつまり、左右でそれぞれ「押す・引く」の逆の動作をすることで、地面に対しての作用はあまりないかなと考えます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: okpコーナー4-1000x600.jpg

 で、このハンドルへの入力動作をちゃんと考えてみようとなったわけです。

 いろいろと考えたり試した結果、動作について意識すると決めたことは2点。

  • 『内側のグリップのみ下に押す』ことに集中
  • 動作を二段階にして『押す力』を増加させる

 『内側のグリップを押すことに集中』は、まず接地点を中心とした弧に沿って倒すことが目的の一つ。

 『下向き』の訳は、自転車が倒れた時にハンドルが『戻る』現象を抑えてハンドル操舵角を保持できるように、という考えです。
 ただ倒れる軌道に沿ってハンドルを動かしても「スカッ」と動くだけなので、元に戻ろうとする力に負けてしまうんじゃないかと考えたわけですね。
(すみません。ここ言語だけで説明するのが難しい。。。)

 で、そのために大きな力を加えるために『動作を二段階』に。

 『内側グリップの上に『アタマ』を落とす』→『グリップを押す』という流れで力を伝えるイメージ。

 身体の移動を伴わなず、腕だけを伸ばして物体を押したとすると、腕にどんなに力があっても対象(この場合は自転車)の抵抗が身体の重量を上回れば、身体の方が持ち上げられてしまいます。

 床を押したら、体が持ち上げるプッシュアップ(腕立て伏せ)と同じ状態。

 ですから『身体の動きを利用して力を伝える動作』のイメージとしては、腕立て伏せで体を落としてすぐ腕を伸ばして『床をぶち抜く』ような動作イメージ。今回はそれを内側のグリップに向かって行います。

 『内側のグリップに身体を落とす』といっても、コーナーの内側に移動する(傾く)ような動作ではありません。

 『ペダルの上に足で立って』内側のグリップに頭を落とす動作であれば、頭がフレームの内側に移動した分、腰はフレームの外側に移動し、フレームに対して左右の偏りはあまり生まれませんから、動作によって過度に倒れてしまったりすることもありません。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: okp210122-1-1000x600.jpg
頭は内へ、腰は外へ

 これは『当たり』だったようで、成功率がまたググッと上がりました。
 

 ですが、滑りやすい土などの路面ではほぼ完璧にできるのですが、アスファルトなどではなかなか難しい。
(今でもアスファルトでは難しいのですが。。。)

 あと、まだまだズレる量も少ないので、『もっと大きく滑らせたい』という欲求も満たしていません。

 なのに「よーし!滑らせるぞ!」って気合いを入れるほど滑りません。。。
 まだ何か、気が付いていないことがあるのではないかと、さらに考えることになります。

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