起伏(こぶ)を越える時の動作の考え方

2021.4.10に「おかっぴからのお知らせです」に掲載した稿を修正・追加・再構成して掲載

 以前に「段差とスロープを使ってペダリングせずにチカラ尽きるまで段差に登る動画」を作成しました。

 この動画の中で行なっていることは、MTBやBMXコースにある起伏(こぶ)を越える時に『減速しないように走る動作』=いわゆる『プッシュでの加速』の手前の動作と理屈が似ています。

 ただし全くそのままではなく、実際の動作では「段差のぼり」と「こぶを越える」では違う箇所もありますけ。
(段差のぼりの動作で連続する起伏を走るとどんどん身体が遅れます)

 ですから、今回は「上り坂で減速しない方法」を中心に『こぶ地形を越えていく動作』考えていこうと思います。


◆ “上り”は何もしないと必ず減速する

 この稿では、何もしなくてもこぶを通過できる程度の速度で走ってる前提で話を進めます。

 水平で平坦な地面を進む自転車は、勢い(慣性)によって同じ速度で進行します。
(摩擦や回転の抵抗減速分はここでは忘れてください)

 ですが、起伏(こぶ)を自転車で通過する時は、上り面でどうしたって減速してしまいます。
 これは重力によるものです。

 たとえそれが緩やかな上り坂であっても、上りになっている(高い場所に移動する)のであれば重力に反するため必ず減速します。

 最初に挙げた動画は極端な例ですが、上り面が”段差”だったりそれに近い急な上り坂だった場合は、減速するだけではなく前タイヤがつんのめったり後ろタイヤが跳ね上げられてバランスを崩したりしやすくなります。
 もちろん速度も落ちますしね。

 

◆ “上り面”で減速しないためには

 極端な例はさておき、ゆるい”こぶ”であっても減速してしまうのを避けるにはどうするかを考えてみます。手前の「(下の)地面」から跳び上がり、こぶの頂点を越えて着地できれば「上り」という減速区間の影響を受けなくて済む理屈です。


 これは動画の「段差のぼり」と同じですね。
 「段差」という超減速区間?を飛び越えて「ないこと」にしてしまってるわけです。

 実際にダートを走る時には、跳ぶまでしなくても「(頂点を越えるまでの時間)上向きの力を手前の地面によって作る」ことができれば上り坂による影響を減らすことができます。

 また、進入速度がとても速い場合は、自転車はこぶの上り面によって上に持ち上げられる(上向きの力を得る)ので、下り面に差し掛かる時にはタイヤが浮いてしまったりして(ひどい時には跳ね上げられて)しまいます。
 腕や脚の曲げ伸ばしで対処しようにも、その曲げ伸ばしの長さや動作速度には限界がありますからね。

 

◆ “下り面”では勝手に加速する

 下り面では、上の動画の通り、放っておいても速度を増してくれます。
 重力が引っ張ってくれますからね。

 まあ動画では、登ったところが「平面」なのとちょっと後輪を過度に引っ掛けてしまって減速してるので、スムーズさに欠けてますが。。。

 ですから、いわゆる「プッシュ」動作をしなくても、この上り面をキャンセルする動作をするだけで、こうした地形の場所では自転車は加速することが可能となります。

 

 実際にダートの起伏を越える時は、後ろタイヤがこぶの頂点に引っかからないように「前から滑り込むように」動作を行うとよりスムーズに走ります。

 これは、下り面に「上から身体を落とす」イメージで動くことで、バイクの角度を変化させ、また身体を上から落とすことで下り斜面に向けて大きな力を加えることができ、より速さを得られやすくなるわけです。

 この「滑り込む」時の実際の動作の参考はこっちの動画で(最後の「おまけ」の部分)

 ということで、ここまで説明したように上りと下りでそれぞれの動作をすると「上り面では減速がなくなり、下り面では速度が増すので、結果として速くなる」ということになります。
 ついでに「跳ねあげられにくくなる」というおまけ付き。

 

 コブを超える動作を動画で見るとこんな感じになります。(古い動画ですが)

 一応断っておきますが、これは「ジャンプ」とはまた違う動作です。
 ジャンプは上り面を利用して飛ぶものですから、上り面をキャンセルしては跳ぶことができません。

 ですが、面に合わせてジャンプする時にもこうした「上下の動作」は必要で、タイミングは違いますが、こうした地形での上下動作に慣れると、タイミングを掴みやすく身体がよく動き跳びやすくなりますし、もし直前で飛ばない選択をした時にも跳ねあげられることなく対処することが可能になります。

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■ 付け足し⑴:バイクの押し引きでは自転車は加速しない

 この前提となる自転車が進む力は「勢い(慣性)」によるものだと上でも触れました。
 これは、もしこぶがなく水平の地面であれば、ずっと同じ速度で進もうとします。

 この慣性によって水平に移動している状態で、自転車を前や後ろに押し引きしても、それによって”結果的に”加速するなどの現象は起きません。
(瞬間的に一部が前に出たりしますが、姿勢を戻すと戻ります。「移動する物体」としての速度は増しません・※作用反作用の法則)

 跳び上がる(伸び上がる)という動作単体は、自転車に対してではなく「地面の支え(床反力)」による(重力方向での)上下の動きです。

 ですから、自転車の進行方向(前後)の慣性に対しては影響を与えませんし、与えようとしてもできません。(条件:地面の角度が一定の場合)
 でも、上下の動きは地面という外部によってその力の一端を支えられて、上下方向に加速をし跳ぶことができるわけです。

 そうして伸びあがることによって「高さ」を得て、その「高さの持つ力=位置エネルギー」を下り坂によって「進む力」に変換し速度を増すことができるということを示したものが最初の動画ということになります。

 

■ 付け足し⑵:コブが連続した時には動きを工夫する

 今回紹介した「上り面で伸びあがり、下り面に飛び込む」のは、動作が大きいのでこぶが細かく連続した場合などにはその動きを工夫する必要があります。
 無駄に高く飛ばないようにしたり、動きをコンパクトにしたり、下り斜面で身体を低くして次のこぶに対してすぐ伸びる動作をできるようにしたり、といったことです。
 さらに間に合わないくらいにこぶの間が狭く連続する場合には、動きをより小さくしたり、さらに忙しくなれば腕や足の曲げ伸ばしによって対処することもありますが、その程度によっては違う考え方・捉え方になります。

 なので、上のことは「一つのコブを越える時」もしくは「忙しくない連続したこぶを越えて行く時」という前提があります。
 まあたいていのところはこれでこなせると思いますが。

 ちなみに連続するこぶの間隔などによっては、下り斜面から次のこぶに向けて伸びあがる動作が意図せずいわゆる後輪の「プッシュ」動作となり、さらに加速することになります。

■ まとめ

 以上が、コブ地形を越える時の動作の考え方の第一歩となります。

 いわゆる「プッシュ動作」はこの先に付け加えてさらに加速することができるもので、またそこには別の力学が存在します。

 ダートなどでは当たり前のように実行している動作でも、力の存在を改めて考えてみるとその動作についての理解が深くなり、より効果的なタイミングで力を加えることが可能になりますし、またそこから発展させて新しい動作・テクニックを考えることができます。

 こぶ地形を走ることがあれば、試して確認してみてくださいね。