[ ※2014.2.15 用語について再検討し大幅に修正しました ]
自転車についての解説で、時々「慣性」「慣性力」という言葉が使われます。
この「慣性」とはどういう事で、自転車にはどのように働いているのかを考えます。
「慣性の法則」
物体が外から何らかの力を受けて移動(運動)を始めると、その物体はいつまでもその移動を続けようとします。
反対に、何も力が加わらない場合、その場に留まり続けようとします。
これを「慣性の法則」といいます。
「慣性力」
「慣性力」は、その例として、電車に乗っている時などがよく示されます。
一定の速度で走っている電車の中では、人間は安定して立っていられます。
仮にその場で跳んだとしても、電車の同じ位置に着地する事ができますね。
移動している電車の車内で立っていられるのは、電車と同じスピードで移動しているからです。
この電車が減速した場合、乗客はそのまま移動し続けようとする(慣性)ので、減速した電車との速度の差によって倒れそうになります。
また、自動車に乗っている時、急なカーブを曲がると乗っている人はカーブの外側に引っ張られるように感じます。
これも「同じ方向に動き続けようとする」乗員と「自動車の方向」に差が生まれる為に生まれる「力」です。
このように「慣性力」は、「スピード」や「方向」に差が生まれた時に現れる力ということです。
「自転車」と「慣性の法則」
もちろん自転車にも「慣性の法則」が働きます。
つまり、進んでいる自転車はずっと進み続けようとするという事です。
進んでいる自転車は、ペダリングを止めても急には止まりません。
この足を止めた状態でも前に進み続けようとするのは「慣性の法則」によるものです。
しかし、自転車はペダリングを止めると徐々に減速し、いつか止まってしまいます。
平地を走っている自転車は、ペダリング等によって加速しますが、その推進力がなくなると様々な「抵抗」によって速度は削られていき、最後には停止してしまいます。
- 自転車を進ませる力=推進力には「ペダリングによる加速」と「下り坂での重力」などがあります。
- 自転車を減速させる「抵抗」には、「路面抵抗」「タイヤや車輪の変形」「空気抵抗」「回転部の抵抗」「登り坂での重力」他、様々なものが考えられます。
自転車が平地を一定のスピードで走っている時は、「慣性」をベースに「推進力」と「抵抗」が吊り合っている状態と考えられます。
例)0km/hから30km/hまで速度を上げるには相当力を使いますが、既に30km/hに達している自転車の速度を維持するのはさほど苦労しません。すでに30km/hという速さの「慣性」を持っているので、「抵抗力」と同量の「推進力」で済むからです。
最後に
自転車に限らず、運動するものにはいつも「慣性」がついて回ります。
慣性を利用する事ができると、より無理をかけずに自転車を楽しめるのではないでしょうか。