身体動作を物理(力学)として考える時の基礎をわかりやすく解説している本を見つけました。
『姿勢と運動の力学がやさしくわかる本』 (ナツメ社)
江原義弘=監修 勝平純司+山本敬三=著
>>出版社書籍情報: https://www.natsume.co.jp/books/12468
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この本は『身体動作の力学=バイオメカニクス』を、力学の初歩からとてもわかりやすく紹介・説明してくれる入門書です。ですから、すでにある程度学んでいる方には物足りないかもしれませんが、力学の初歩として学びたい、見直したいという方には十分な内容と思います。
>>amazonリンク先に細かな「目次」が記されています。
「力学」は、物体が動く時の様々な力の働きについて考える分野です。
その「力学」を用いて「身体が動く時や身体に力がかかる時、その力がどのように働くか」を考えるのが「身体動作の力学=バイオメカニクス」です。
例えば、以前に「ヒジ関節のてこと筋肉の働き」について書いた『「上腕三頭筋は手に持ったオモリを支えられるのか」を考える』 もこのバイオメカニクスの範疇ですね。
「バイオメカニクス」は「自身の身体」の経験や感覚などに照らし合わせて考えることができるため、もっとも身近な力学と言えるかもしれません。
自転車を操るための身体動作も、力学(バイオメカニクス)的に考えることで、より客観的で汎用性の高い理論を構築することが可能ですし、新たに知る様々な考え・理論についても自身で検証することができます。
また、自転車は人力で操る道具としては大型でその機構も複雑なものですから、その挙動(操作による姿勢変化)については細かく考えていくことが必要です。そして、そこで必要とされるその機構・構造についても力学を知ることでより深い理解が可能となります。
この本では、数式なども載ってはいるのですが、イラストの多用などによって「どのようなことか」を説明されていますから、数式を避けたい方でもその考え方や理解の仕方を知ることができると思います。
>>amazonリンク先にて、中身?の写真などを見ることができます。
難点としては、やはりいくつか「知っていることが前提」の記述があったりもします。もともと初歩的な部分ですから調べればすぐ出てくるようなことですし、これはもう仕方がないと思える範疇ですけどね。
あとは「¥1,980-(税込)」というお値段がネックといえばネック・・・。
あと、個人的な不満として、最後のところで「まとめ」や「あとがき」なくブツっと終わって「索引」が唐突に現れるのはなんとかならかなったのかと本好きとして思ったりします。
もともと数・理が苦手だったのに自転車を通じて力学を学んできた身として、こうして身近なことから力学を知り、またその知ったことを利用して自転車の構造などを理解するためにも、この本はとても良いと思ったので紹介することにしました。
書籍で学ぶ時には、いくら入門書といってもなかなか頭に入ってこないことがあります。
そういう時には、同じような書物をいくつか読むと、同じことでも違った面からの説明や言い回しになっていることがあって、理解する助けになったりしますね。
学ぶということはなかなか時間がかかることですが、いろんな切り口や表現があるのだと知ることで、その過程も楽しむことができると考えています。