樹脂製のまな板で後ろを滑らせてターンする動画を公開しております。
(動画は毎回同じものを各SNSなどでアップしています)
このネタの初出は2015年のこちらの記事。これでいきなり失敗して痛かったのと、その後にまな板が思った以上に遠くまで飛んでしまうことがわかって、「これを紹介するのはどうかなぁ」と悩んでたんですよ。
今回は、100円ショップで良さそうな(風で飛ばない程度に軽く、軽いためにあまり遠くまで飛ばず、また当たってもあまり重大な事故になりにくそうな)樹脂製まな板を見つけたので、改めて動画にして紹介した感じです。
100円ショップで220円(税込)で売られてた高級品。
ある程度の硬さとちょっと厚みがあるほうがよく滑るみたい。同じ店で売っていたPPE板もよく滑りましたが、すぐに穴が空いてしまいそうだったのでこちらにしました。とてもよく滑ります。
とはいえ、当たったらやっぱり痛いですし、通行中の車や歩行者が不意に踏めばスリップする元ですし、物に当たったら傷くらいはつくと思うので、もし行う時には十分に周囲に気をつけてくださいね。
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このような「後ろタイヤを滑らせる」ことをスキル練習の一つとして地面にコンパネ敷いた上に水を撒いたりして行っていました。人が多いならこっちの方が楽ですしね。
山道などで、後ろタイヤを滑らせないようにって言われても、滑らせた経験やそれをコントロールできるスキルがなければなかなか難しいわけですよ。だからいっそ思い切り滑る状態を人為的に作っちゃえばいいんじゃないかと。
実際にやってみると、思ったよりもよく滑って回り過ぎてしまったりしてちょっと楽しいです。
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■ 動作手順
最初のまっすぐの手順
- 「まな板」を踏むようにまっすぐ走る
・両ペダルにしっかり立ち、股関節から上半身を前に倒して、頭をハンドルの上に置く。その頭の重さを支えるように、手をグリップの上から載せ、軽く握る。 - 後ろタイヤが「まな板」を踏むタイミングで、後ろブレーキだけ強くかけて車輪ロック。
・姿勢は走ってきたまま。動かない。 - 後ろが滑ったのを確認したらブレーキを離す
・距離をだんだん伸ばしていくようにする
・身体(腰)を後ろに退いてしまうと、バランスを崩した時に一気に倒れるので注意
ターンをする時には上の「2」の後、下の「4」につなぐ
- 「ハンドル」と、その上にある「顔」を曲がりたい方向にじわじわ向ける
・「前タイヤの先」くらいの「近くを見る」方がうまくいきます。
・いきなり大きくターンしようとしない←倒れる
・勢いで回そうとしない←すっ飛ぶ
・足で後ろタイヤを押し出そうとしない←倒れる - 「顔」の向いた方向に後ろタイヤが向き、勢いが少なくなくなったらブレーキを離す
・勢いがあるうちにブレーキを離すと、ターンの外側に飛ばされるのでできるだけ勢いがなくなってから離す。
- 失敗した時、「まな板」が思いもかけない方向&距離飛ぶことがあるので、周囲に十分注意し、あまり勢いをつけないで行うこと。
- ゆっくり90°くらい曲がるのが目標
ターンが90°を越えると、別のコツが必要になる
- ゆっくり90°くらい曲がるのが目標
- 失敗した時、「まな板」が思いもかけない方向&距離飛ぶことがあるので、周囲に十分注意し、あまり勢いをつけないで行うこと。
このターンを経験することで期待されるのは
- 後ろブレーキがどちらかを認識できるようになる
- 後ろタイヤが滑った時の感触を覚える
- ハンドル操作だけでなく、身体を曲がりたい方へ向けて曲がる感覚を身につける
- ハンドル(前タイヤ)に「頭の重さ」を載せながら操作する感覚を身につける
- 滑った後、ブレーキを離すとグリップが回復することを体験できる
など。
反対にデメリットとして
- 通常の「自転車を倒して曲がる」時とは、自転車の傾け方が違う
(動画のスライドターンでは、あまり自転車を傾けない) - 身体が前に寄り過ぎてしまう可能性がある
(すべり量や静止場所のコントロールが難しくなるので、そのうちに是正されると思うけど)
という点も考えられるのですが、普段は「普通に乗って倒して曲がる」ことがほとんどでしょうから経験の中に吸収されて問題とはならないと考えます。
『下り坂でのコントロール動画』でも言及しましたが、前(ハンドル)への荷重がない状態では、自転車のバランスコントロールは難しくなります。
これは、ハンドルを「手で持って」『力(筋肉の働き)』で水平にするよりも、ハンドルの上から「頭の重さ」を乗せて手で支え、その手にかかるその左右の重さを調整する方が水平がわかりやすいからではないかと考えています。また、ライダーの重量が自転車の後方に偏ると、左右に倒れる傾きが生じた際、自転車の機構上身体も一緒に倒れやすく、ポジションとその荷重分布からその補正が難しい、と考えています。
時折、ロードを始めたばかりの方の中で下り坂でハンドルがフラフラして怖いというのを聞きますが、これもおそらく深く前傾するポジションに慣れていないためにハンドルから荷重(身体の重さの一部を載せる)が抜けてしまっているという理由もあるからではないかと考えています。
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あまりコツらしいコツはないのですが、気をつける点はいくつかあります。
● 前ブレーキをかけない(普通のコーナーでは使います)
自転車に慣れていない子どもさんで時折あるのですが、両方のブレーキを一緒に握る癖があってつい握ってしまうことがあります。(すっ飛びます)
また、滑り出した時にびっくりして前ブレーキをかけてしまうこともあります。
最初は後ろブレーキだけに指をかけ、いきなり無理して大きく滑ろうとせずに、「一瞬滑らせて離す」を繰り返して滑る感覚に慣れると良いと思います。
(普通の)コーナー中には、ブレーキは前も後ろも使ういます。
この動画は、その時に後ろがどちらかというのを認識するのも効能の一つですから、誤解のないようにしてくださいね。
● [まっすぐの時] 長く滑らせようとして、身体が前に出すぎる
ピストバイクで遊ぶ「スキッド」のように、身体(腰)とハンドルがくっつくように身体が前に出るようになることがあります。
これはこれで楽しいのですが、今回の主目的は普通に乗った時の適正なポジション感覚なのでまたちょっと違うということは存じてくださいませ。
● [ターンの時] 勢いがあるうちにブレーキを離すとつんのめる
ターン中、まだ自転車に勢いがあるうちにブレーキを離すと、後ろタイヤのグリップがいきなり回復してターン外側へ倒れるような力がかかります。
これは、後ろタイヤに乗る重さの進む勢い(慣性)が、滑っているうちは滑る方向に向いているのを、タイヤのグリップ回復とともに止められるため。
勢いが緩いうちは、ちょっとびっくりするくらいで済みますが、勢いが強いと実際に吹っ飛んでしまうことがあります。(いわゆるハイサイドに近い状態)
後ろブレーキを離すのは、十分に速度が落ちてからを基本に十分に備えてください。
● [ターンの時] 足で後ろを押し出さない
後ろブレーキでタイヤを滑らせたあと、脚を使って後ろタイヤを滑らせようと押し出すと自転車は横を向いて進むだけで曲がってはくれないことがあります。(そして倒れます)
要するに、カウンターステアを当てて耐えているような状態ですが、これも板によって地面との摩擦がとても小さくなっているので、倒れてしまいやすくなります。
曲がる時には、ハンドルの上に置いた頭(顔)と上半身の正面をゆっくりと曲がりたい方向に向けていき、じわじわとその方向を変えていきます。
● [ターンの時] 勢いで振り回そうとしない
ターンの時に、身体を振り回すようにして「勢い」で回そうとすると、身体が前に偏りやすく、またターンの途中から身体よりも自転車(後部)の方が速くなって、自転車に振り回されるような形でバランスを崩します。
あくまでじわじわと曲がる感じで、それを徐々に大きくしていくようにしていきます。
● 転び方が独特
これで失敗して転ぶ時は、普通に転ぶ時よりも「下」へ落ちるような感じになります。
普通に自転車で点灯する時には、滑っているとは言ってもある程度はタイヤの摩擦によって支えられ倒れるので横に投げ出されるような形になるのですが、その摩擦が極度に低下している今回の状態では、後ろタイヤが身体の下から抜けるようになくなって身体が落ちるような感じになります。
バランスを崩した時の水平成分が小さくなって落ちるので、受け身を取ろうとしても十分に力が逃がせないことが考えられます。こうした時にはつい手をついてしまいがちですしね。
骨は、曲げられる方向には強靭ですが、圧縮方向の力には弱いので、手をついて落ちてくる身体を支えようとすると割れるようにして折れることがあります。十分に注意してけっして無理しないように行ってくださいね。
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以上、簡単ですが、動画の補足説明でした。
何よりも安全に気をつけて楽しんでくださいね。
それでは。