2023年1月30日に「ドロップオフ のかんたん力学」というたいそうなタイトルの動画をアップしました。
一度アップしたもの(1/30版)の説明に一部誤りがあったため、改めて「修正版」をアップしました。初版をご覧いただいた方には申し訳ありませんでした。
(誤りの内容と原因については、このページの下部に記載してます)
表題に「力学」とはありますが、計算などを使わずにどんな力(速さと勢い)に分解できるのかと、実際の物体(自転車)ではどうなのよ?って事を確認をしているだけのもの。
投射では質量(重量)を考慮する必要がないのでわかりやすいかな、と思ったんですよね。
一部「地面に捕まる」などという曖昧な表現をしてますが、なかなか他に表現が思いつかず、、、まだまだ言葉を探しています。
「地面に捕まる」というのは、物体(自転車)が段差を飛び出て「水平投射」軌道を辿ろうとしても、水平速度が遅いとタイヤが浮く前に「地面に当たってしまう=捕まる」という感じを表現したものです。
■ まず考える「水平投射」
この動画のような落差を利用したドロップオフでは、一定以上の速度で進入すると動画のように「水平投射」の曲線を辿って宙に浮きますし、その間には前回りする力が存在します。
この時、ライダーと自転車を「ひとかたまり」として考えるとし、その「重心(仮の位置)」の移動(運動)として単純化しています。
「水平投射」は、二つの方向に存在する力によって成り立っています。
その瞬間に持つ「速さ」と「方向」を維持しようとする「速度」(慣性の法則)と、下向きに働く重力による「加速」(重力加速度)です。
地形の変化によって急に落ち込んでいる場合、進んできたままの速度が重力の下向きの加速で地面に当たるよりも速いと宙に浮くわけです。
■ 前が下がっていく=前回り
自転車は、前タイヤと後ろタイヤに二つの接地点を持ち、ここで重量を支えて立っています。
段差から飛び出すように進むと、まず前タイヤが地面からの支えを失い、後ろタイヤ軸を中心とした下向きの縦回転をすることになります。(上図)
自転車が進んで後ろタイヤが段差を抜けるまで、この前回りの力は生じ、後輪が抜けた後もそれまでに得た回転する力を続けようとします。
ですから、前タイヤと後ろタイヤが宙に浮くまでの時間的間隔が短いほど角度変化は小さく、時間間隔が大きいほど大きな変化をします。
これは、上の「水平投射」と同時に発生するので、自転車の重心は「水平投射」の曲線をたどりながら、自転車自体は重心を中心とした前回りの回転をする、ということになるわけです。
ですから、厳密には前タイヤが宙に飛び出した時点で全体が前回りを始めるために重心位置(高さ)も変化するため、実際には「下向きの斜方投射」になります。
■ 実際に斜面に入る時には
何もしなくても宙に浮くくらいの速度で落差に進入する時、腕や脚を使って自転車を斜面に押し付けて走ろうとしても、そのまま進もうとする力の方が大きいために浮いてしまいます。
前下がりの角度が大きくなる分 転倒しやすい
ですから、斜面に対して合わせる時には、まず身体(の重心)の進む方向を変化させ、それによって斜面に対して安全に着地できる角度にしたり、飛ばないように調整したりする必要があります。
実は動画のようなとにかく飛んでしまうような速度よりも、「地形通りになぞりはしないのだけどちょっと浮いてしまうくらいの速度」「前タイヤが浮いてしまうけど後ろタイヤは浮かない程度の速度」で段差や落差に進入する時の方が危ないことが多くあります。
かといって進入を速くすると、本当はあまり飛びたくないのに飛び過ぎてしまったりするので、飛距離や着地角度を合わせるなどのテクニックが必要になりますね。
そのためにも、落差に進入する自転車にどのような力が働くのかを踏まえておくことはとても役に立つことだと考えています。
==
■ 誤った説明とその原因
今回アップした動画は、最初のもの(1/30版)の説明に誤りがあり、2/2に修正版を改めてアップしました。
現在、こうした動画は利用している各SNSにそれぞれアップしており、特にTwitterではRetweet(引用して広めること)された方にその修正をお伝えするのにかなりバタバタとお騒がせしたことを改めてお詫びします。
当該箇所は以下です。(修正前のものに「間違い」を加筆)
修正版では「空中では重心を中心に前回りしながら」とし、曲線などの書き込み図を消しています。
誤りとしては、まず書き込み図(水平と落下を示すラインの表示&重心を示す「赤白の円」)の存在が不適当であるという点。
また、書き込まれた曲線は「投射軌道」とはいえないこと。また前後輪の軸がこの曲線をたどるのもこの動画の時にはそのように見えますが、条件が違った場合には違った結果になると考えられ、誤った説明となります。
こんな初歩的なことを誤ってしまい、非常に恥ずかしく思っています。
誤記から修正までの経緯は以下の通りです。
・編集中に「車輪軸の描く曲線は、投射軌道に近いんじゃないか」と思い、投射曲線図を縮小して当ててみたらそれにハマったので、何らかの理由があるのではないかとして別のパートとして作成した。(この時点では投射曲線とはしていなかった)
・これを動画全体の時間短縮のために削ることになった際、せっかく見つけたことなので諦めきれず、当該箇所にて一緒に説明できるのではないかと安易に挿入し、曲線を「投射に似た曲線」から字数整理した際に省いた。
・時間がなく公開時までに内容を十分に見直すことをしなかった。
・公開後、二日経ち落ち着いて考えた際に「これは説明として間違っている」と気がつき訂正に至った。
新たに気がついた点があった際、そのまま十分に検証することないままに掲載してしまったことが今回の原因と考え、今後このようなことがないように十分に検証・校正をしていくよう努めます。
今後ともよろしくお願いいたします。