「分かりやすいエンターテイメントを目指す劇団はなかなか評価されない。(中略)
プロパーに評価される商品が悪いという訳ではない。それは業界で確かに必要なものだろう。しかし、それとは別に新しい客を連れてくる商品を冷遇するような業界は、決して社会のメインストリームにはなれない。分かりやすいものを軽視する風潮には、商業的に成立すために不可欠な一般客への侮蔑がある。
自分の気に入った商品がバカにされるような業界に一体誰がお金を落したいものか。」
[ p191より]
有川浩・著の「シアター! 」を最近読みました。
有川氏の著作を読むようになったのは
昨年『阪急電車』を文庫で読んでからです。
舞台は、そこそこ知名度は在るものの商業的に赤字の小劇団。
逼迫した事情から劇団の経済的な自立を目指す様子を描く青春物語です。
で、その中盤、上に引用した文章があります。
「分かりやすい」ことに定評のある脚本は業界では評価されない。
外部から参入した人間からそうした状態を見ての思いを綴ったもの。
これって演劇だけではありませんね。
なにか突き抜けきれない業界は、常にこうした事を含んでいる気がします。
自転車業界もつい最近までそうだった気がします。
今はどうでしょうか?
さて、物語自体はコミカルで楽しく軽快にすい〜っと読みました。
大人になり切ってしまった人にはちょっとこそばゆいかもしれませんが、
気分を楽にして読める小説です。
大人になり切ってしまった人にはちょっとこそばゆいかもしれませんが、
気分を楽にして読める小説です。
「大人のライトノベル」を書きたいという有川氏。
「まさに!!」の小説だと思います。
冒頭の引用にあるように
この小説自体が「分かりやすいエンターテイメント」。
「ライトノベル作家」を標榜する有川氏の
「ライトノベルは読まない」という人への思いを重ねているのかも?
というのは、やっぱりすこし考えすぎでしょうね(笑)