つらつら:29年が経過しました(2017.12.31)

僕が初めてマウンテンバイクを手に入れてから29年が経過しました。

僕がマウンテンバイクを初めて知ったのは、自転車屋さんの壁でした。
友人の自転車の修理に付き合って行った小さな自転車屋さんの壁にかかっていた黄色いマウンテンバイク。

それまでマウンテンバイクの存在など全く知らなかった僕は、「山を走る自転車です!」と主張するそのふてぶてしいまでに『頑丈』を強調した姿に強く惹かれました。
それが秋頃。
そしてその年末の夜には、僕の元に青いマウンテンバイクがやってきました。

嬉しくて舞い上がった僕は、翌朝に早起きをし、マウンテンバイクに乗って走り回り、何も知らずに濡れた砂利の堤防の上を走ったり、背中に泥のラインをつけて帰ってきました。
これが僕のマウンテンバイクの原体験。

今でも僕は、その朝の冷たい空気の匂いや、堤防の濡れた砂利を走る振動や、ギアを変える度に変化するペダルを踏む重さをよく覚えています。

その冬の朝から29年が経過しました。
僕は今もマウンテンバイクを楽しんでいます。

なんの知識もなくマウンテンバイクに出会い惹かれた僕は、だからこそずっと乗ってきたのかな、とも思います。

誰かのライディングを見たわけでもなく、どんな競技があるのかも知らず、だからこそ、ただそこにマウンテンバイクがあって僕がいて、乗ることが、乗って何かをすることが楽しいから乗るという、とても単純な動機を僕は手に入れました。

成長し、いろいろとできるようになり、競技に参加し、また幸福にも望まれてステージや自転車の仕事をさせてもらえるようになっても、この動機によって僕は僕自身のマウンテンバイクの楽しさを忘れずにいることができたように思います。
コースじゃなくても、バイクがなんであっても、自分が乗った場所が自分のバイクフィールドで、そこで何をして遊ぶかは自分のイメージ次第。
コースに出ればそのコースでの楽しさを、トレイルを走ればそのトレイルを楽しむイメージを、ジャンプやトライアルでもイメージしてその通りに感触を楽しむ。
僕は、単純な動機を元にそんな遊びを自分の中に育ててきたように思います。

そういう29年間が経過しました。

当然、これは僕の時間であって、他の人には他の人の原初の体験や動機があって、それぞれに楽しんでいるものと思います。
そうした人それぞれの楽しみがあるから、自分には想像もつかないことが生まれ、それに感銘し刺激を受け、僕もまた楽しみが広がっていくのだと思いますし、自分も周囲の皆さんにとってそういう存在でありたいと思っています。

僕のマウンテンバイク30年目となるこれからの一年。

自分もちゃんとマウンテンバイクに乗って楽しみつつ、皆様にとって良い刺激となれたらいいな、と思っています。

また一年よろしくお願いいたします。